よく、これに近いような相談を受けます。
結論から言えば、「同じ糖尿病でも、病状が違うから」です。
体からインスリンがある程度出ていれば、内服薬のみでも治療は可能です。しかし、体から出ているインスリンが少なく、内服薬だけで補えない場合にはインスリンの注射が必要となります。
また、今まで飲み薬でよかったけど、注射の薬が必要になった。
それにつきましても、病気の状態は変化するからです。
人間の体は老いとともに糖尿病の状態が悪化する事は普通です。
年を取るごとに筋力が落ちるように、同じ運動でも息が上がり心肺能力が衰えるように、近くが見えにくくなる老眼のように、糖尿病になりやすくなる(糖尿病が悪くなる)のは、老化現象の1つです。
しかし、同じような人に全く同じ薬が使用されない場合も数多くあります。 いい意味で、適当に薬剤を割り当てております。テキトーになんとなくという理由で選ぶことはしませんので、理由について尋ねていただくことがあればいつでもお答えさせていただきます。
治療薬の使い方の違いは他にもありますが、全く同じ病状の人が100人いれば100人同じ薬剤治療を提案します。それは、糖尿病の薬の使い方にアルゴリズムがあるからです。
基本的に同じような人には、同じような治療となります。
なぜなら、薬を使用しての副作用や、認知症があればサポート体制の状態、経済的事情などから使用していく薬剤に違いが生じてくるからです。
糖尿病を専門とする医師は、そういった治療法についての引き出しの数を多く持っている人たちと言って差し支えありません。
今回は、糖尿病の治療薬は病気の状態と患者さんの置かれている状況を深く考慮したうえで決定されることについてお話させていただきました。
具体的な薬剤については、今後書いていこうと思っています。