ドクターコラム

Doctor column

紹介状は必要?

当院では紹介状なしでも受け付けます。
どこの病院にもかかっていなければ、紹介状は無くて当然です。
ただ、もともとかかっている病院があるならあった方がいいです
それは、当院以外の受診でもある方が望ましいです。


【紹介状とは】
病院同士でやり取りされる内容では、治療の依頼や経過の報告に用いられます。
患者さんの過去の病気や、経過、現在の病気の状態、治療薬、要望、その他の情報が記載されたものになります。
大変重要になる事は、医療者が記載した物という事が大きな意味を持ちます。

患者さん自身で、病気の経過と、治療法の推移、その他の情報を適切に伝えることは大変難しいです。
私の経験則になりますが、自分の病気の状態を医者以外で十分に伝えられた人はいません。
というのも、医者になりたての研修医が、患者さんの病気の状態について上級医へ説明します。ドクターXを始め、多くの医療ドラマで若手の医師が上の医師に対して相談しているシーン(カンファレンス)がありますが、まさにそれです。病気の状態を説明することは、多くのダメ出しを受けながら洗練されていく技術の一つです。むしろ、それがうまく行えるかどうかで、できる医者かどうかまで判定されます。


【お薬手帳だけじゃダメ?】
治療を引き継ぐうえで、お薬手帳は大変有用です。が、それだけでは不足です。
確かに、多くの医師は使用されている薬剤で、どういった病名から病状まで推し量ることも可能ではあります。
しかし、詳細な経過は不明ですし、どういった事情で現在の処方となっているかという所まで汲み取ることは不可能です。


【どうしたら作ってくれる?】
基本的に依頼を受ければ、即座に作ります。
ただ、ある程度時間を下さい。作成にはどんなに短くとも10分程度は要します。長ければ20-30分程度かかるものもあります。外来診察の際は、後ろの方の診療時間が押す場合があり、依頼の内容が急ぐものでなければ、日を改めたり次回の再来の際に作成しておく事も多いです。

その中で、「かかりつけを変えたい」や「別のところで病気を見てほしい」というのは言い出しにくい。と、よくご相談を受けます。
心苦しい事は分かります。良く分かります。
「先生に嫌な感じを与えてしまうのではないか、決してそうではないのに。」また、「嫌だから変えたいんだけどそれが伝わってしまうのではないか。」など、いろいろ思うところはあるかもしれません。
結論から言えば、医師が他院へ紹介状を作成する事を断ることはないです。

遠方であったり時間の関係から通院がしづらい、こういった検査をやってほしいなど、紹介しての治療の引継ぎがやむを得ない事は、歓迎して作成します。
それは仕方がない事ですから。

一方、「もっとその道の詳しい先生に診てもらいたい。」「正直見てもらっている先生と馬が合わない。」などは本当に言い出しにくいかもしれません。
大丈夫です。
その先生も、病気をより詳しく見れる先生にバトンパスする方が気が楽です。
また、うまくいってないから変えたいことは、あなただけでなく医師の方も同じく感じていることがほとんどです。その相手が別の所に行きたいとなれば、引き留める理由はないです。粛々と書類を作成してくれるでしょう。


終わりになりますが、紹介状は医療情報の結晶と言えるものです。
そして、情報を軽視する事が危険で愚かな事なのは言うまでもないでしょう。
お金は3割負担で500円程度かかります。
どうか高いと思わないで頂きたい。医者になるまで大変勉強して、医者になってからも研鑽を重ねた人が作成する、あなた専用のレポートのようなものです。公的な文書であり、情報としての価値が大変高いです。

確かに、紹介状なしで治療を引き継いだり、みてくれる病院は数多くあります。一方で、あった方がより良い医療を受けれらる可能性が高いです。
マイナンバーカードと保険証が一体となり、使用している薬剤の確認もできるようになる時代となりましたが、依然病状の詳細は紹介状が無いと、伺い知ることができません。医療情報の共有システムが進めば、紹介状自体が不要となる時代が来る可能性はありますが、現時点では紹介状持参での受診が最良です。